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これは、劇団ING進行形の怒涛の稽古記録である。
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3ページのみを数回通して終わってしまった。しかし、通すたびにニュアンス(声・動作ともに)調整。
新シーンに着手できなかったものの、非常に充実した稽古場であったと私は思う。

以下、私の発言録。


女役に……
演技してほしいけど、演技(嘘)はするな。演技というのは本来、真実なんだ。
どんなファンタジーだろうと、ココロの動きは本物でなければならない。
 
君は今、新鮮か?

稽古で反復して色々と調整するときや、家であれこれするときは考えながらでもいい。しかし、相方と合わせての通しのときくらい、何も考えずにやりなさい。

常に初めての感覚でなければ……。
その後の展開を知ってるなんておかしいだろう?

もう一度問う――君は今、新鮮か?


婦人役に……
元々この空間は女の家。しかし、この空間で君は主導権を握らねばならない。要は陣取りゲーム。
突如現れて、女を翻弄せねばならない。
君の行動は、女には分からない。ということは観客にも分からないはずである。
先の読める映画なんて観てもつまらないだろう?
常にスリリングな存在でいなさい。
静と動を自在に扱い、時間と空間を支配しなさい。

ちなみに、男役も婦人同様、スリリングでなければならない。
いや、ある意味、よりスリリングでなければ……。

婦人の言動は理路整然としているように見える。
それに対し、男は明らかに不条理をもたらす存在である。
男の態度が違っていたなら、この作品は不条理には思えなかったろう。


コロス達に……
女の周り、半径数センチは特殊な空間。
空気の層が厚かったり重かったり。または重力が強かったり。とにかく、磁場が生じている。

女をある惑星とし、何かしらの引力が生じている。
人間単体はミクロ、舞台全体はマクロコスモスである。

遠くに居るときと、近づいていくときと、近くに居るとき。
その身体の状態はイコールであることはないんじゃないか?

歩き方の質感が皆ばらばらでいただけない。
ある種のルールを見出しなさい。

君らが発話するとき。それは君らが実体となるとき。
発話してないときは透明・半透明だったりせねばならない。
いや、物質としては存在しているかもしれない。モノ言わぬ身体として。ただそこに在らねばならない。

また、発話していくうちに強いエネルギーが生じたなら、実体はより強いものへとなる。
そうしたとき、初めてコロスは、他者(人間)に影響を及ぼすことが出来るのである。

演劇死神

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